遊漁船にも乗ったが、イカを釣るならやっぱりイカ釣り漁船
イワナやヤマメなどの渓流の魚もいいが、海の魚も食べたい。それもできるだけ新鮮なものがいい。秋田市は日本海に面し、磯釣りや船釣りで知られる男鹿半島も近い。たまには仕事関係の人と遊漁船に乗り、海釣りも楽しんだ。 アイナメ、キス、イワシ、アジ、タコ、タイ、カレイなどなど、季節に応じてさまざまな魚が釣れた。しかしイカ釣りだけは、チャンスがなかった。漁火(いさりび)、いわゆる集魚灯を点灯してイカを集めるイカ釣りは、それ専門の船が多く、レジャーとして乗せてくれる船は少ない。 イカ釣り漁船に乗るには、知り合いを通して漁師さんに直接頼むしかないと聞かされた。そんなとき、「釣りたてのイカは透明で、その刺身はコリコリしている」との話を聞いた。 この話を聞いたら、いてもたってもいっられなくなった。 「沖に出て、超新鮮なイカ刺しを食べながらビールを飲んだら、どんなにうまかろう」
しかし秋田県の内陸部で育った僕には、海沿いには知り合いも友達もいない。でも、渓流釣りで会社をやめたときのように、遊びに対するエネルギーだけは旺盛だ。「取材」と称して乗ってやろうと思ったが、フリーになって一年そこそこ。
6月から7月にかけての秋田港は、他県からのイカ釣り漁船でにぎわう。鳥取、石川、新潟、山形沖と、スルメイカを追って北上を続ける船。その船のほとんどは秋田、青森沖を経て北海道沖へと向かう。今から12、3年前、秋田港には50隻近くものイカ釣り漁船が入港していた。
あれは何隻目の船だったろう。 |